魔法飛行

魔法飛行 (創元推理文庫) 東京創元社 創元推理文庫 560円(+tax)

 私も、物語を書いてみようかな――入江駒子のつぶやきは「じゃあ書いてごらんよ」のこえにあっさりと迎え入れられた。幾つもの名前を持っている不思議な女の子との遭遇、美容院で耳にした噂に端を発する幽霊の一件、学園祭で出逢った〈魔法の飛行〉のエピソード、クリスマス・イブを駆け抜けた大事件……近況報告をするように綴られていく駒子自身の物語は、日々の驚きや悲しみ、喜びや痛みを湛え、謎めいた雰囲気に満ちている。ややあって届く“感想文”には、駒子の首を傾げさせた出来事に対する絵解きが。第三回鮎川哲也賞を受賞した『七つの子』に続く、会心の連作長編ミステリ。(中表紙より)