シェルター
祥伝社 1400円(+tax)
人はなぜ、最も大切な人を一番傷つけてしまうのだろう?
心のシェルターを求めて出逢った恵みと少女いずみのミステリアスジャーニー
世界はわたしたちに優しくない?
「きっと、あなたの方が似合うわ。とてもきれいだもの」
彼女は、くっと唇を噛んだ。
「お世辞なんか言わないで。わたし、お調子者だから、おだてられると、すぐ、その気になっちゃうの」
彼女が、なにに戸惑っているのかはわからない。それなのに、なぜか彼女の気持ちがわかる気がした。
自分のことをきれいだなんて、一瞬でも思って、それを誰かに知られると、その瞬間に嘲笑われる気がした。自意識過剰で、被害妄想。そうは思うのだが、なにかがわたしの心を、きつく押さえ付けていた。
わたしたちは、ひどく似ているのかも知れない。……本文より(カバー帯より)