掌の中の小鳥

掌の中の小鳥 (創元推理文庫) 東京創元社 創元推理文庫 540円 (+tax)

 たぶん僕は変わったのだ。四年前にはとても出来なかったことが、今の僕には出来る。――本書全体のプロローグといえる第一話「掌の中の小鳥」で真っ赤なワンピースの天使に出逢った主人公は、一緒に退屈なパーティを抜け出した。狂言誘拐の回想「桜月夜」で名前を教わり、御難続きのエピソード「自転車泥棒」や不思議な消失譚「できない相談」を通じて小さな事件に満ちた彼女の日常を知るにつれ、退屈と無縁になっていく自分に気づく。小粋なカクテルの店〈エッグ・スタンド〉を背景に描かれる、謎を湛えた物語の数々。巧みな伏線と登場人物の魅力に溢れたキュートなミステリ連作集。(中表紙より)