名探偵は密航中

名探偵は密航中 (光文社文庫) 光文社 光文社文庫

昭和五年七月、豪華客船・箱根丸は横濱港を出港、倫敦へ向かった。出港早々、殺人事件の容疑者が乗船していることがわかり、大騒動に。その後も、男爵令嬢の逃亡騒ぎ、幽霊船の出現など、奇妙な事件ばかりが起こり……。じゃじゃ馬令嬢から意外な名探偵まで、魅力的な登場人物たちが大活躍。ミステリーの楽しみがギュッと詰まった、傑作オムニバス・ストーリー!(カバー裏より)



 去年から引き続きの若竹本。
 横浜発倫敦行きの箱根丸で起こる事件を描いた7編の短編集。個人的には第五話の「幽霊船出現」が一番好き。

アヒルと鴨のコインロッカー

アヒルと鴨のコインロッカー (ミステリ・フロンティア) 東京創元社

引っ越してきたアパートで、最初に出会ったのは黒猫、次が悪魔めいた長身の美青年。初対面だというのに、彼はいきなり「一緒に本屋を襲わないか」と持ち掛けてきた。彼の標的は――たった一冊の広辞苑。僕は訪問販売の口車に乗せられ、危うく数十万円の教材を買いそうになった実績を持っているが、書店強盗は訪問販売とは訳が違う。しかし決行の夜、あろうことか僕はモデルガンを持って、書店の裏口に立ってしまったのだ!四散した断片が描き出す物語の全体像は?注目の気鋭による清冽なミステリ。(カバー表紙折り込み部より)



 個人的に去年一番注目の作家さん。*1
 現在と過去でそれぞれ違う主人公の視点で進められる。けれども過去はやっぱり過去でしかなく、現在はやっぱり現在から遡ることができない。過去から現在に至る道筋は主人公たちにはなく・・・ちょっと可笑しく奇妙で不幸な、そんなお話です。
 あ、ものすごく個人的なことだけど作中に出てくる「風に吹かれて(Blowin' In The Wind)」は僕が歌える数少ない洋楽の一曲なので結構親近感があったりして。

*1:と書いたら去年の「このミス」ベスト10内に2作品入ってることをついさっき知りました