アヒルと鴨のコインロッカー

アヒルと鴨のコインロッカー (ミステリ・フロンティア) 東京創元社

引っ越してきたアパートで、最初に出会ったのは黒猫、次が悪魔めいた長身の美青年。初対面だというのに、彼はいきなり「一緒に本屋を襲わないか」と持ち掛けてきた。彼の標的は――たった一冊の広辞苑。僕は訪問販売の口車に乗せられ、危うく数十万円の教材を買いそうになった実績を持っているが、書店強盗は訪問販売とは訳が違う。しかし決行の夜、あろうことか僕はモデルガンを持って、書店の裏口に立ってしまったのだ!四散した断片が描き出す物語の全体像は?注目の気鋭による清冽なミステリ。(カバー表紙折り込み部より)



 個人的に去年一番注目の作家さん。*1
 現在と過去でそれぞれ違う主人公の視点で進められる。けれども過去はやっぱり過去でしかなく、現在はやっぱり現在から遡ることができない。過去から現在に至る道筋は主人公たちにはなく・・・ちょっと可笑しく奇妙で不幸な、そんなお話です。
 あ、ものすごく個人的なことだけど作中に出てくる「風に吹かれて(Blowin' In The Wind)」は僕が歌える数少ない洋楽の一曲なので結構親近感があったりして。

*1:と書いたら去年の「このミス」ベスト10内に2作品入ってることをついさっき知りました