大誘拐

大誘拐―天藤真推理小説全集〈9〉 (創元推理文庫) 東京創元社 創元推理文庫

三度目の刑務所生活で、スリ師戸並健次は思案に暮れた。しのぎ稼業から足を洗い社会復帰を果たすには元手が要る、そのためには―早い話が誘拐、身代金しかない。雑居房で知り合った秋葉正義、三宅平太を仲間に、準備万端調えて現地入り。片や標的に定められた柳川家の当主、お供を連れて持山を歩く。…時は満ちて、絶好の誘拐日和到来。三人組と柳川としの熱い日々が始まる!第32回日本推理作家協会賞長篇賞受賞作。(カバー裏より)



買ってきたばっかりなので未読。でも既読。
つーのは10年くらい前に角川文庫版で読んでるから。
やっぱり実家のどこかに眠っているはずなのだけど見つからない。
んでもどーしても読みたいってんで改めて購入。


実は僕の中のミステリランキングでは文句ナシでこの作品がトップ。
誘拐犯の3人はどこか抜けていて好感がもてるし、誘拐されたはずの柳川とし刀自の酸いも甘いも知り尽くした知略によって誘拐事件から徐々に偽装誘拐に変化していく様が面白い。
特に犯人たちが身代金の額に困り5000万で要求しようとしたのにとし刀自が厭がって結局100億という金額になるときの犯人と刀自とのやりとりが最高。*1
あと、作中に悪人(悪意を持った人間)が出てこない所為で読後感が爽やかなのも魅力の一つ。

*1:そういえば東野圭吾さんの作品でも金持ち老人3人組が勉強漬けになっている自分の孫を誘拐したときに身代金が1億円じゃ安すぎるって会話があったなぁ・・・この作品名誰か知ってたら教えてくれません?