ぼくのミステリな日常

ぼくのミステリな日常 (創元推理文庫) 東京創元社 創元推理文庫

建設コンサルタント会社で社内報を創刊するに際し、はしなくも編集長を拝命した若竹七海。仕事に嫌気がさしてきた矢先の異動に面食らいつつ、企画会議だ取材だと多忙な日々が始まる。娯楽面充実のためここはひとつ小説を――上層部の要請に頭を抱え、大学時代の先輩に縋ったところ、匿名作家でよければ紹介してやろう、との返事。もちろん否やはない。かくて一年、身許不詳の書き手から編集長のデスクに届いた小説は十二本、いよいよご当人に謁を賜る日がやってきた!一編一編が放つ個としての綺羅、そして全体から浮かび上がる精密な意匠。寄木細工を思わせる、贅を凝らした連作長編。(表紙見開きより)



若竹七海の処女作。


 面白かったです。もしかすると今まで読んだ若竹作品の中では一番面白いかも知んない(笑)
 12編のミステリ仕立ての短編小説なのだけど、特に殺人にこだわっていない所がなんとなく嬉しい。日常からそう遠くもなく、かといって日常に埋没するわけでもない、それでもともすれば見過ごしそうになる不思議(=ミステリ)を解き明かしていく面白さがあると思う。


 実はこの文庫、装丁も結構凝っている。読めば分かるけど本全体が若竹七海が編集長を務める社内報「ルネッサンス」から「ぼく」による短編小説だけを切り取ってファイルしたような印象がある。
 たぶん、編集の方の仕業だと思うんだけどイイ仕事してます(笑)