遠きに目ありて

遠きに目ありて (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書) 東京創元社 創元推理文庫 720円(+tax)

成城署の捜査主任真名部警部は、とある縁である少年と知り合うことになった。岩井信一、年齢からいうと高校受験期ぐらいの少年である。彼は重度の脳性マヒだった。だが、親しくなるにつれて、この少年の予想外の聡明さに驚嘆するようになる。ある時、約束していた映画鑑賞を突発事件のためにすっぽかしてしまったお詫びのためにと、その事件の経緯を話して聞かせたところ……!?安楽椅子探偵の歴史に新たな一ページを書き加えた連作推理短編集の傑作であり不可能犯罪や奇抜なアリバイ・トリック等を満載した、著者の本格推理分野での代表作といえよう。(中表紙より)



 天藤真の著作はコレで4作品目だけど、彼の作品に共通しているのはキャラクターに対しての愛情が溢れているということ。特に本作では彼自身を真名部警部として投影し、重度の小児マヒにもかかわらず、一生懸命に生きようとしている探偵役の信一少年に惜しみない愛情が降り注がれている。
 ・・・・・・たぶん。


 個人的に好きなのは、最終話「完全な不在」